乳腺炎について

母乳をあげている人にとっては、「乳腺炎にならないか」「なったらどうしたらいいのか」という不安がありますよね。本章では乳腺炎とは何か、予防や対処法についてお伝えしていきます。

乳腺炎って何?

乳腺炎になるまでの流れは以下の通りです。

母乳が乳房に溜まって張る

乳管(母乳の流れる管)が詰まる

うっ滞性乳腺炎

(乳房のしこり、痛み、発赤)

うっ滞性乳腺炎が治癒せず

細菌感染した場合…

感染性乳腺炎

(発熱、つよい乳房の腫れ、ひどい痛み、熱感、発赤)

これが乳腺炎になるしくみです。

乳腺炎になりやすい時期

 乳腺炎には「なりやすい時期」があります。つまり上記のしくみが発生しやすい時期です。

それはいつかというと「季節」と「月齢」この二つにポイントがあります。

乳腺炎になりやすい月齢は

  • 産まれてすぐから1か月まで
  • 3ヶ月頃
  • 6か月頃
  • 9か月頃
  • 1歳頃
  • 卒乳の頃

この時期になぜ乳腺炎になりやすいのかというと、「母乳が乳房に溜まりやすい時期」なんです。本来は母乳が作られて乳房に溜まったら、どんどん赤ちゃんに吸わせていけばいいのですが、赤ちゃんが産まれてすぐは、赤ちゃんは母乳が作られる量に対してそれほど多くは飲めないことが多い。だから母乳が乳房に残りやすいんです。

その後3ヶ月以降は赤ちゃんの成長・発達により母乳を飲む回数・量が変動しやすい時期。母乳のリズムも変わりいつも通り生産していた母乳が余ったり夜中飲まれなかったりして、乳房の中に母乳が残りやすいんですね。

乳腺炎になりやすい季節

ズバリ。冬です。この季節は母乳の流れる管が詰まりやすい時期です。母乳は血液でできています。血液がドロドロになるとドロドロのおっぱいができてしまいます。母乳を搾るとシャーッと出るはずのおっぱいがドロッと出てきます。母乳に携わる方々が「食べ物に注意しなさい!!」って口酸っぱくいうのはこのためです。

もちろん食べ物も大切ですが食べ物と同じくらい重要なのが水分です。冬は夏に比べて水分を控えやすいです。これもかなり理由としては大きいです。脱水にならないよう注意が必要ですね。

それから年末年始に言えることですが、いつもより相当、ご馳走を食べますよね。特に要注意だなと思うのはクリスマスケーキと年始のお餅です。食べても何ともない人がいる一方、身体が反応する人もいるんですね。

昔の人は「母乳を出したかったら餅を食え」と言いましたが、食べ物や栄養が豊富である現代の食生活では、母乳が作られすぎてしまう原因にもなるようです。

もう一つ、冬になりやすい理由。それは寒さです。冬の夜の授乳は寒いですね。寒くて血管が収縮し、血液のながれが悪くなり、結果、母乳の流れも悪くなるんです。だから冷やしてはいけないんですよ。授乳服とかホッカイロとかはらまきとか色々なあったかアイテムを駆使し冬の授乳を乗り切りましょう!

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乳腺炎になる一番の原因は?

さて、ここまで、乳腺炎のリスク要因についてお伝えしてきました。でも、リスクだけでは乳腺炎は発生しないんです。リスクは回避することができるからです。

ではなぜ乳腺炎になるのでしょうか?

乳腺炎の本当の原因は

「母乳が溜まって張ってしまったときに、何らかの理由で乳管の閉塞などにより乳汁排出が抑制された場合におこる」

難しいですね^^;

つまり、母乳が溜まったり、張ったりした時に、赤ちゃんに頻回に吸ってもらえなかったり、飲み方、抱き方、吸わせ方の癖などで乳汁の排出に偏りが生じたり、ドロドロの乳汁が乳管(母乳の出る管)にくっついて乳管が閉塞してしまったり(白斑)…

リスク要因に加えこういったことが重なると、それが原因でうっ滞性乳腺炎が発生してしまうんですね。

うっ滞性乳腺炎が治りきらずそこに細菌が感染してしまった場合に感染性乳腺炎が起こります。また、吸わせ方により乳頭や乳輪に傷ができている場合も感染性の乳腺炎になりやすいです。

ですから乳腺炎に関しては、予防が大事ですし、なってしまったときには悪化しないよう速やかに対応することが大事!なんですね^^

乳腺炎を予防するには?

では、どうしたら乳腺炎にならないで済むのでしょうか。乳腺炎を予防する方法は3つです。

  • 乳房が張ったときに頻回の授乳により乳汁うっ滞を予防する
  • 母乳が詰まりにくい状況にする
  • リスクをできるだけ減らす

詳しく話していきますね。

①乳房が張った時に頻回の授乳により乳汁うっ滞を予防する

赤ちゃんが産まれておっぱいを吸わせ始めると、誰しも必ず一度は乳房の張りを感じます。いつ起こるかはひとそれぞれですが、生理的なもので、出産後2〜6日くらいまでの間に起こることが多いです。

赤ちゃんがおっぱいを吸う刺激により母乳が生産され始めた証拠ですね。

ここで!

頻回におっぱいを吸わせ、乳管の開通を促し、乳汁の排出を促します。

できればいつもと同じようにミルクをあげるのではなく、ミルクをお休みしたり、量を少なくしたりして、とにかく母乳を優先的に吸わせましょう。

ミルクの量や赤ちゃんの体重に不安があるなら助産師と相談しながら進めましょう。これはすごく大事なのでぜひ覚えておいてくださいね^_^

②母乳が詰まりにくい状況にする

赤ちゃんが産まれて、飲み方、抱き方、吸わせ方がうまく行かないとか吸わせると痛みのある方、乳頭や乳輪に傷のある方は、詰まるリスクがありますので、できるだけ早期に授乳姿勢の改善を始めます。

上手に飲む、上手に飲ませられる、色々な方向から飲ませることができる。これができると乳汁の排出に偏りが無くなり、乳管の閉塞を防ぐことができ、傷をつくらないことで感染性乳腺炎のリスクを軽減します。

③リスクをできるだけ減らす

乳腺炎になるリスクには、赤ちゃんの月齢、季節があるとお伝えしました。

まず月齢ですが、赤ちゃんの月齢、発育発達により、夜よく眠るようになったりして母乳を吸うリズムが変わってきます。生後2,3ヶ月くらいに起こることが多いです。これはごく自然なことなのですが、赤ちゃんのリズムにおっぱいが順応するのにちょっと時間がかかります。

こういう場合は、赤ちゃんのリズムを崩して3時間ごとに無理やり起こすのではなく、夜しっかり眠り、おっぱいが張ってお母さんが赤ちゃんより先に起きたなら、その時点で赤ちゃんを起こし、飲ませます。そして朝もたっぷり飲ませます。それでもおっぱいが残っているなら搾乳しましょう。

赤ちゃんが上手に飲めて、そのあと飲み残しをちゃんと搾乳して搾れているなら、いずれ赤ちゃんのリズムにおっぱいも順応していきます。

それから季節です。食べ物と水分については触れましたが、ドロドロの母乳にならないように、つまりドロドロの血液にならないように、身体に良い食物を適切な量食べて、水分をしっかり摂りましょう。

そして寒さで血液のながれが滞らないよう常に身体を温めることを心がけましょうね。

乳腺炎症状(うっ滞性乳腺炎)になった時の対処法

乳房に母乳が溜まり張ってしまい、何らかの理由で乳管が詰まってしまうと、うっ滞性乳腺炎になります。症状としては乳房の痛み、熱感、しこり、発赤

これらが起こってしまったときはまず第一選択としてとにかく赤ちゃんによく吸わせることです。これで解消すればOKです。赤ちゃんに吸わせてもすっきりとしてこない場合、赤ちゃんがあまり頻回に飲んでくれない場合は搾乳します。

でも、乳汁うっ滞がみられ、頻回の授乳や搾乳によっても改善されない場合は、助産師による母乳マッサージでうっ滞の解除を行います。熱が出る前なら助産師が対応できます

また、マッサージと同時に、飲み方、抱きかた、吸わせ方など授乳方法の改善をできると良いですよね。

助産師による母乳マッサージの詳細はこちら

感染性乳腺炎になったときの対処法

乳汁うっ滞が、頻回の授乳や搾乳よってもマッサージによっても解消されず、炎症が強まり発熱を繰り返したりした場合は、感染性乳腺炎の可能性が高いです。

症状としては、乳房の腫れ、痛み、熱感、発赤、38,5度以上の発熱、リンパ節腫脹、血管の怒張などがあります。

ここまで来ますと、乳房のマッサージだけでは改善ないことも多いため、母乳外来のある産婦人科を受診するのが良いでしょう。自分が出産した産院なら安心です。抗菌薬、消炎鎮痛剤の投与、さらにひどくなった場合には切開排膿による治療なんかも検討されます。

切開と聞くと驚かれると思いますが、いきなりってことはありません。まずは抗菌薬(つまり抗生物質)と消炎鎮痛剤の内服が先です。それで多くは改善します。

持っておくと良い常備薬

何事も備えが大事。授乳中の方が持っておくと良い常備薬についてお話しますね。持っておくと良い常備薬は

  • 消炎鎮痛剤(ロキソニン、カロナール)

です。

ちなみに抗菌薬は感染性乳腺炎と診断されないともらえませんが、消炎鎮痛剤は出産後すでにもらっている方も多く(カロナール、ロキソニン)内服されたことのある方もいらっしゃるのではないでしょうか。いづれのお薬も授乳に問題ない成分です。

乳腺炎その予防法と治療法~まとめ~

ここまで、乳腺炎について詳しくお伝えしてきました。まとめますね。

【乳腺炎になる仕組み】

母乳が乳房に溜まって張る

乳管(母乳の流れる管)が詰まる

うっ滞性乳腺炎

(乳房のしこり、痛み、発赤)

うっ滞性乳腺炎が治癒せず

細菌感染した場合…

感染性乳腺炎

(発熱、つよい乳房の腫れ、ひどい痛み、熱感、発赤)

【乳腺炎の予防と対処方法】

  • 乳房が張ったときに頻回の授乳または搾乳により乳汁うっ滞を予防する
  • 母乳が詰まりにくい、傷つきにくい状況にする
  • リスクをできるだけ減らす

これらに気をつけることで乳腺炎を予防できるのですが、時には気をつけていても乳腺炎症状になってしまうことも。

乳腺炎症状が起きたら赤ちゃんにとにかくよく吸わせ、搾乳し、それでも解消しなければ助産師による母乳マッサージを。熱が出て症状が悪化傾向にあるのなら病院にて抗生剤の内服治療を、早め早めに対処して悪化を防ぎます。常備薬もあると心強いです。

いかがでしたでしょうか。乳腺炎ってわからないから怖い、というところがあるかと思うのですが、このようにしくみをちゃんと知ると、自分がどのステージにいて何をすればいいのかわかりますよね。知識をしっかり入れたうえで、必要以上に恐れることなく赤ちゃんとの授乳を楽しんでいただければと思います。

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